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恋する『伊勢物語』

.12.2009 読書 - -
先日皇室の名宝に行き

伊勢の国のイベントを上野公園で見たし

上村松園の雪月花を見て心の琴線に触れ

雪月花 花

                   花(伊勢物語)

恋する『伊勢物語』を読みました。

恋する伊勢物語


友情などをテーマにしたものもありますが

ほとんどが恋愛がらみです。


俵万智さんが、短歌をそのまま訳し、文法や当時の状況で説明したり

「他の方の解説ではこういうものが多い」と語ったり。


現代っぽく翻訳したものや俵さんのツッコミには

くすっと笑ってしまったところがたくさんあります。



例をあげますと、第86段は若い頃お互い好きだったけど

なんとなく疎遠になって「自然消滅」になってしまったパターン。

ところが何年かたって、男から女に歌が一首とどけられた。


いままでに忘れぬ人は世にもあらじおのがさまざま年の経ぬれば

俵さんの訳
>こんなふうな状態になって、年月がたってしまった場合、互いのことをわすれなかったカップルなんて今までにありませんよね。それぞれの日常生活があって、しかも時間がたってしまったわけですから。

注釈の類の本を読むと
>この歌は昔の彼女に贈る物としては、今ひとつ意図のはっきりしない
どうにも煮えきらない歌ーというのがおおむねの評判のようだ。

「私達のように、離れて時間のたったカップルで、ずっとお互いに忘れないでいるなんてこと、この世にはありえませんよね」

といわれて、女はなんと答えればよいのだろう?

「ええ、そうですね。私もすっかりあなたのことを忘れていました。」

というのが正直なところだろうが、それでは返事としてあまりにも間抜けな感じがする。

「いいえ、そんなことはありませんわ。私はかたときもあなたのこと

忘れたことはございません。」なんていうのも、お世辞がすぎる。

「あら、そうはいっても、あなたはこうして歌をくださっているじゃありませんか。

例外中の例外ってことかしら?だったら嬉しいけど。」


俵さんの推察では、男の期待していた返事というのはこの第三のタイプではないか?と。

この程度の返事が返ってくれば、女はフリーだということがわかるし

それさえなければ脈なしということ。


>たとえば、高校時代つきあっていた女の子に

社会人になって久しぶりに手紙を書くとしたら、まあこんなものではないだろうか。

「元気ですか?あ、オレのことなんて、もうとっくに忘れているよね、ははっ。」

男の歌を現代のノリに翻訳すれば、こんなところだろう。

いきなり「愛しています。ずっと君を想いつづけていました」なんて手紙を出すよりも

私(俵さん)はいいと思う。

ややドラマチックではなくなるものの、どちらにころんでもお互いが傷つかないという点で。


結局彼女から返歌はなく、それきりになってしまった…


↑ところどころ引用して紹介してみました。




それにしても、こんな風に何かっていうと短歌を作るのは

とても楽しそうですねー。


でも『通い婚』は嫌です

その時代の女性ではなくてよかったです。


☆☆☆拍手コメントのおへんじ☆☆☆

歌に想いを託す時代に憧れます~♪

私もです~♪

日記で紹介されている歌は確かに意図がはっきりしないですね。

でも、この時代にはこんな風に何気なく思い出したことまで歌にするのが、

普通だったのかなぁ~なんていう気もしました。

何せ『いわずもがな』の文化だったでしょうから、

ストレートに気持ちを表現せず、

歌を通して相手がどう自分の気持ちを取るかってことを楽しんでいたのでしょうから、

あいまいなことだらけだったんじゃないかと♪

そうなんでしょうかね。

私は頭悪いっていうか、空気読めないっていうか

ストレートに言ってもらわないとわからないことがあります。

深読みして勘違いっていうのもあると思います。

勉強しないとね。


私も凪紗さんと同じで通い婚はちょっと嫌だなぁと思います。

当時の女性は結婚しても不安で仕方なかっただろうなと思いました。

結婚とはそういうもの、と割り切っていたのかもしれません。

実際にそういう短歌もありました。

男の人にとっては、うらやましい時代だったかも?
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